2024年06月13日

生涯の師匠に偶然に出会う

オペラ歌手 小林和子

私は、70歳の時ピーノ先生と初めてお会い致しました。
オペラの合唱団をしていましたので、歌は歌っておりましたが、先生がいつも発声、発声ということに、なんでこんなに言うのだろうと思っていました。というのも、「発声」というものは、以前にどんなものかと習いに行ったことがあり、習いに行ったことがありましたが、「コンコーネ」という教本をただ歌って行くだけのもので、それ以上何もなく、大した進歩も感じられず、辞めた経験がありましたので、「発声」が大事だという先生の言葉になかなか付いて行くきもあまりしませんでした。

しかし、一旦習ってみると、それまでの先生方と全く違う方法でみっちりと、なかなか出来ない私を辛抱強く、丁寧に一音一音伸ばしてくださいました。その結果、今まで出したことがないくらい低い声から高い音までが出るようになり、難しいオペラのアリアまで歌えるようになってきました。

2年ほど主人の具合で2年くらいお休み致しましたが、主人が亡くなり時間もまた出来たことで、レッスンを再開致しました。
しばらくすると、先生がコンクールを受けてみないかということをおっしゃったので、私はこんな歳になってコンクールなんてと思いましたが、熱心におっしゃるので、とりあえず、音を録音しコンクールに提出致しました。録音を聴かれて落ちればそれで先生も納得すると思ったのです。しかし、なんと第一次通貨の知らせを受け取りびっくりでした。

そしてなんと本選まで進み、なんと敢闘賞。次の年には第三位になり、またびっくり。そしてその後にもう一度コンクールを受けさせられ、そう私にとっては、全く望んでいたわけではなかったので、この言葉がぴったりでした。3回目にしての本選での結果は、若い方々を差し置いて、優勝をしてしまったのです。勿論先生も優秀指導勝を受けられました。私は、この優勝は全て先生が受けるべきで、私ではありませんと先生に言いました。
84歳にしての大きなコンクール優勝など夢にも思っていなかったことにただ夢を見ている感じでした。

今でもレッスンに通い、日々の声の鍛練を続けていて、いつの間にか年下の弟子の方々がピーノ先生に付いてしっかり勉強すれば、歳など全く関係ないということになり、皆さん頑張っておられるのが、私の喜びであります。
ピーノ先生には、感謝の言葉したありません。これからも何卒宜しくお願い致します。